味覚障害の記憶

自分で「味覚障害かも」って意識できたのって、本当に味が分からなくなってからずい分後のことだったと思う。不規則な生活・たくさんのお酒・失恋だとかで慢性的にウツ状態になっていた。味覚の前に目が動かなくなった。実際に左右にコロコロと眼球を動かすことは出来るんだけれど、表情がまるで目に出せなくなってしまった。涙も出ないし、笑えない。泣かなくても良いけど、笑えないのはとても困った。せめて「微笑んで」みせる顔を作るために出来たことは口角を上げることだけだった。
気持ち悪がった方も当然いらしたし、本当に心配してくれた方もたくさんいた。心配してくれる方たちは、毎日のように私と食事を共にしようとしてくれた。もともとがひどい少食なので、輪をかけて食べないのではと心配してくれたのだ。そういう状態で食事をしていると「心配かけてるから、悪いから食べなきゃ」とか変な方向に思考が行ってしまい、味わうことに意識が行かないし、無理に食べてお手洗いに失礼したり、食べ物の位置を動かすことで量が減ったように見せようと、まるで意味の無い姑息なことをしていた。みんな気付いていたのに気にしないふりをしてくれてた。結局、運動不足と栄養不足で歩くのが難しくなり、やたらと過敏にもなっていたので恐怖感から1人で外を歩けなくなった。
その頃はノルマのように一日お稲荷さんを半分齧っていたのだけど、そのお稲荷さんでやっと味覚障害にに気がつけた。目が動かないことを認識したときにはきっと、もう味がしてなかったんだろうな。あの時の目の感覚はおぼえているけど、やろうと思っても今は出来ない。味がしなかった感覚も、日々薄れていくのだろうけど出来るだけ忘れないようにしたい。繰り返さないために。自分じゃなく、大事な人たちを傷つけないために。経験からも思いますが味覚障害の治療は早めにするのをおすすめします。